言えなかった言葉 ~友達と同じ人を好きになって…

「川村 驚いていたけど…でも 喜んでくれたよ。俺達に もっと 自分に正直になれって 川村に 叱られたよ。」

川村に 伝えたことで 

俺は 胸のつかえが 取れていた。


早苗に 川村の言葉を 伝えると

早苗は 俺と同じように 苦笑した。


「そうだよね。私 仕事辞めて 雅也から離れて ずっと後悔してた。」

「早苗も?」

「うん。私 雅也と付き合えなくても 毎日 会社で会うだけで 幸せだったから。だから すごく寂しくて…」


「俺も。何度も あの時のライン 開いて。じっと眺めてた。俺って 本当に 意気地なしだよな。」

「雅也も?私も 何度も ラインしようと思って。入力しては 削除して…私も 弱虫なの。」


俺と早苗は 同じことをしていた。

同じ気持ちを 抱えていたのに

勇気が出せなくて すれ違っていた。


「でもさ。俺 これからは もっと 図々しくなって 自分に 正直に生きるよ。」

「どうしたの?急に…」

「だって 俺のせいで 早苗が 犠牲になったり 我慢するの イヤだから。」

「フフッ。大丈夫だよ。私は 雅也の そういう所が 好きだから。」


「自分一人ならね。でも 誰かを守るって 綺麗事ばかりじゃ 済まないだろう?これから 俺は 早苗を守っていくわけだし…子供ができたら 俺達は 子供を 守らないと いけないからね。」


「雅也との子供…なんか 不思議だね。私も 母親になったら 図々しくなるかも。」

「俺 早苗と子供のためなら どんな事でも やるからね。」

「ありがとう。頼もしいなぁ 雅也。」


早苗は 少し 頬を染めて 

嬉しそうに 俺を見つめた。






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