言えなかった言葉 ~友達と同じ人を好きになって…
「なあ 寺内。俺 バレンタインデーのお返しを渡す時 岩瀬さんに 告白しようと 思うんだけど。どうかな?」
川村は いつになく 真剣な顔で 俺に聞く。
「ホワイトデーか。いいんじゃない?」
「でもなぁ… 岩瀬さん 俺のこと どう思っているかな。」
「何だよ 川村。随分 弱気じゃない?いつもの 自信は どうしたんだよ。」
「岩瀬さんって 表情が 読めないだろ?だから 全然 予想がつかないんだよ。」
「絶対 その気にしてみせるって 言ってたくせに。頑張れよ。」
「寺内 応援してくれるか?」
「もちろん。まあ 俺は 何もできないけどね。」
川村は どうして俺に あんな事を言ったのか。
俺の 早苗に対する気持ちに
きっと 気付いていた。
川村から バレンタインデーのお返しと言われ
俺は 千夏のことを 思い出していた。
千夏にも お返しをしないと マズいのか…
気持ちは 全くないのに。
そのことを 伝えた方が いいのか?
あまり 恋愛経験が 多くない俺は
千夏の好意が 負担でしかなかった。