怪奇病棟〜恐怖からは逃れられない〜

「はい！お願いします！」

師長さんにどこに何があるのかなどを教えてもらいながら、私は覚えようとメモを取ります。やはり前にいた病院とは物の置く位置も、雰囲気も、何もかも違いました。

「ここの奥にあるのが汚物処理室よ。使い終わった尿器やポータブルトイレのバケツは汚物処理室に持って行って洗浄してね」

「はい！」

汚物処理室の中も覗いておこうと私は歩きました。汚物処理室に行くまでにも患者さんのいる病室があります。

「〜〜！」

「〜〜！」

とある病室の前を通りかかった時、中から数人の人の足音や声が聞こえてきました。お見舞いに来た人でしょうか。しかし、こんなに騒いでは他の患者さんの迷惑になるかもしれません。私は迷いましたが、病室のドアをノックしました。

「失礼します。すみませんが、もう少し声を抑えていただけますか？」

私はそう言いましたが、カーテンの向こう側ではまだ話す声が聞こえてきます。むしろその声はさらに大きくなっているような気がしました。