好きって言いたい

引っ張られて全速力で連れてかれた先は
人気のない屋上

「はぁっ、はぁはっ、」




あぁ、こいつ足だけ無駄に速いんだった。




小学校の時
徒競走で1等常連だった廉は下級生上級生限らずみんなの好意の的だった


中学校の時
サッカー部に入って、もちろんその足の速さで1年生からレギュラー勝ち取って
当たり前にモテた。そんなの私が息を吸って吐く間に女子1人が廉に惚れるくらい



いつだって廉には選択肢が山ほどあって
誰に告られただの
バレンタインのチョコ30個貰っただの
そんな話ばっかりで






なのに何故か
廉はずっと彼女を作らなかった





私はそこに安心しきってた
いや、なんなら自惚れてたかもしれない



























もしかしたら








"私の事が好きなんじゃないかって"























家が近くで
幼稚園の頃から幼なじみとして家族ぐるみで仲良かった私と廉は


もうそれはずっと一緒にいた。


昔は女の子みたいに可愛い顔して私と同じくらいの身長だった廉が、
知らぬ間に大人っぽくなって背も私なんかよりずっとずっと高くなってて


今では直視できないくらいにカッコ良くなってた。







そんなにずっと近くにいたなら
もっと早く気付けば良かった



こんなにカッコよくなって
私じゃない別の女の子の物になる事が分かってたなら






もっと早く











「ごめん、なんか気付いたら走ってた」





廉は何か考えるような顔をして俯きがちにそう呟いた






後ろ頭を掻く仕草、






私が間違ってなきゃ
それ照れてるときの仕草だよね…?













なんで?

やっぱり私は自惚れ屋かもしれない
なんでを知りたくて堪らない






いやまって、
だから廉は美咲ちゃんと…


うわぁ噂思い出しただけでも辛いや



「どうしたの突然、」



私は廉の口から出る次の言葉が欲しくて


でも怖かった






だって廉と美咲ちゃんがほんとに付き合い始めたなら















私もう、





廉のそばにはいられないでしょう?
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