水魚の交わり すいぎょのまじわり
「オレにアザが出るようになって
別れたんだ

オレは好きだった
彼女がまだ続けたかったら
続けてた

どぉする?って聞いたら
別れるって…

彼女には
オレが必要なくなったんだ」


水瀬さんて、すごい人なんだよ…

先輩たちが見てた水瀬さん

学校中のみんなが見てた


水瀬さんて、すごい人なんだよ…
って


「部活もできなくなったし
学校もなかなか行けなくなって
デートも晴れの日はできない

それから
アザが出始めたきっかけが…

彼女と交わった時だったんだ

肌が触れた時
違和感があって
その後、すごい湿疹がでて…
それがきっかけだった

彼女が悪いわけじゃないし
原因もわからないけど…

でも
それから彼女に触れるのが恐くなった」


私には
本当の水瀬さんを見せてくれてる気がする

どっちが本当なのか

どっちも本当の水瀬さんだけど
私は今の水瀬さんしか知らない



「彼女が好きになってくれたオレは
こんなオレじゃなかったわけだし…

なにもできないオレといたって…
なにもしてあげれないし…

別れても、仕方ないよね」


なにもしてあげれない…

それは違うよ



ひとりだった私に

傘をさしてくれたのは

水瀬さんだった



「なにもしてあげれない…って言うけど
私には、してくれたよ」


「なに?オレなんかした?」


「いっぱい、してくれたよ

話しかけてくれた

友達作ってくれた」


「それは、観月さんが自分で…」


「んーん…
きっかけを作ってくれたのは
水瀬さんだった

それから
この学校も好きになった
この学校に入ってよかったって思った」


「それは、よかった
オレも嬉しい」


「それから…

それから
好きな人ができた」


ドキン…


「好きな人…?」


ドキ…ドキ…


「うん、好きな人」


「友達?それとも恋愛?」


「んー、友達もそぉだけど…
今言ったのは、恋愛の方かな」


「へー…進展したら
学校生活ももっと楽しくなるね
両思いになったら教えてよ」


ドキ…ドキ…


「水瀬さんは?
今好きな人いないの?
もぉ彼女作らないの?」


「彼女…?
だってオレ、こんなだし…
さっき話したじゃん
付き合っても何もできないって

そんなの恋愛する資格ないよ
好きな人作っても
意味、ないから…」


「前の彼女のことは…まだ好き?」


「…うん…好きだよ…
大好きだったから…」


ズキン…


「そっか…」


ズキン…


「うん…
そんな簡単に忘れられないよ」


ズキン…


「へー…大好きだったんだね
今も…好きなんだね…」


ズキン…


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