水魚の交わり すいぎょのまじわり
「水瀬さん!
見に来てくれたの?」


「うん、見たかったから…

曇りだから大丈夫かな…って
油断したら、やっぱりアザ出てきた

でも、見たかったから…
観月さんが、飛ぶところ」


「ありがと…」


肌が出てる部分が少し赤くなってるのが見えた


「気持ちわるいでしょ」

私の目線に気付いて水瀬さんが言った


「初めて見たから…
少し驚いた

痛いの…?」


「痛くも、なんともないんだ
だから、大丈夫だよ
ただ、見た人が不快だと思うから…」


確かに
不快に思う人もいるのかも


それくらい酷かった


それなのに
私のために来てくれた



「じゃあ、帰るね…」

そう言って水瀬さんは暑いのに長袖を羽織った



「水瀬さん」


「なに?」


水瀬さんの首から見えるアザに触った

水瀬さんが少し驚いた顔をした


「ありがと…来てくれて…
たいした記録出せないのに…
見に来てくれて…」


きっと水瀬さんは
このアザを人に見られたくないと思う


それなのに…

来てくれた


「観月さん
…気持ち悪いと思わないの?」


「思わないよ…
そんなこと、ぜんぜん思わないよ…
だって、私のために来てくれたのに…」



< 65 / 109 >

この作品をシェア

pagetop