人魚の標本
「じゃあこの準備室の標本って先生の趣味?」
海斗がそう尋ねると恵比寿先生は「そうだよ」と笑った。
ホルマリン液につけられたそいつらはまあまあ気持ち悪くて私はちょっと苦手だったりする。
ねずみなんておなかがパックリ裂けてるし。
水族館の透明標本とかなら、まあ、って感じだ。
「これとこれは?」
「これはねぇ……」
孝也と真智が興味深々ってかんじで先生に質問している。
あやめと海斗はあんまり興味なさそうだ。
「ねえ、朱里、これなにかなぁ」
「ん?」
あやめに呼ばれ振り返ると鍵のかかった棚の中にキラキラ光る丸いものが綺麗に並べられている。
薬品なんかとちがって別に危なそうには見えないけど……