そろそろきみは、蹴られてくれ。
わたしだけのとくべつ
「紗奈ちゃん……! ついに体育祭当日だよ!」
「うあああ、緊張する……」
いままでの練習の成果をぶつける、本番。めいっぱい楽しもう。がんばろう。
花乃と気持ちを分かち合っている。
朝の教室。気合いを入れるためか、多くのひとが早く来ていた。わたしと花乃もその枠に入る。
橘は、まだ来ていない。
なんだか落ち着かなくて、髪の束を指で撫でた。