そろそろきみは、蹴られてくれ。
「ダメじゃないけど……なんで?」
なんでって……橘が。これを言わなきゃいけないの? それって、もう、告白寸前──ではないか、ではないけど、言えないよ、さすがに!
「それ、誰かの好みの髪型なの」
質問のはずなのに、有無を言わさない重圧感。えぇ、どうして怒ってるの、橘。
「そんな可愛いのに、おれ以外のひとの好みに合わせてるとかだったら……ほんと、ムカつくんだけど」
おれ以外のひとの好みに合わせてる──?
橘は、わたしのこの髪型が、わたしのすきなひとの好みに寄り添ったものだと思ってる……ってことだろうか。
いや、そのすきなひとが橘なわけだけれど、直接的には言っていないし、どうとでも解釈できちゃう──のか?