そろそろきみは、蹴られてくれ。
「ねぇ、紗奈ちゃんってば」
嫉妬、さえも、うれしくなってしまう。
いやいや、ちゃんと誤解をとかねば。
「えっと」
なんて言えばいいんだろう。
「た、橘は、高い位置でのポニーテール、すきじゃないの……?」
「……まあ、紗奈ちゃんがやってるならすきだけど──って、そうじゃないでしょ。誰の好みに合わせたの、話逸らさ」
ないで、と、たぶん言いたかったんだと思う。
ぷっつり、言葉が途切れる。