そろそろきみは、蹴られてくれ。


「ねぇ、紗奈ちゃんってば」


嫉妬、さえも、うれしくなってしまう。


いやいや、ちゃんと誤解をとかねば。


「えっと」


なんて言えばいいんだろう。


「た、橘は、高い位置でのポニーテール、すきじゃないの……?」

「……まあ、紗奈ちゃんがやってるならすきだけど──って、そうじゃないでしょ。誰の好みに合わせたの、話逸らさ」


ないで、と、たぶん言いたかったんだと思う。


ぷっつり、言葉が途切れる。

< 170 / 625 >

この作品をシェア

pagetop