そろそろきみは、蹴られてくれ。


「うん、よかった……」


息を吐く。なんとなく、落ち着いてきた気がする。


「大丈夫だよ、そんなに緊張しなくても」


ふっと息を吐いた橘が、小さくわらって。


「笑顔で応援してくれたら、おれら、うれしいし、楽しめるから。そうすればいいんだよ」


『どうしよう。おれ、おれとしての必要性じゃなくて、結果だけがみんなのために思えてくる……っ』


思い出す。


そうだ。結果だけがすべてじゃない。


もちろん、本人たちはこだわりがあるだろうけれど……わたしが願ったことは、なんだった?

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