そろそろきみは、蹴られてくれ。


橘は驚いたように目を丸くしたあと、やわらかく笑んだ。


「あっ、紗奈ちゃん待って、1回離して……っ」

「えっ、ど、どうした!?」


花乃の慌てように驚いて、ぱっと手を離す。


「ご、ごめんね急に……。肩、濡らしちゃいそうで……っ」


肩、濡らしちゃいそうで──?


自分の肩に視線をうつして、それから前を向くと。

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