そろそろきみは、蹴られてくれ。
次は橘が走る番で、ラインに着く。
青組は2位になっていて、1位との差は……50メートルはゆうにある。
バトンが橘の手に渡って、橘はうなずいて。
……ちから強く、駆け出した。
速い。
速くて、強くて、風みたいで、太陽みたいで。
惹き付けられて、止むことを知らない。
ぐんぐんスピードが上がっていって、あと200メートル以上あるのに、その200メートルはきっととてつもなく大きくて、たいへんなものだろうに、それを感じさせない。
1位まで、あと……20メートルほどだろうか。