そろそろきみは、蹴られてくれ。


「ごめんね」


言いながら、橘のあとについて行く。


「いや、謝んなくていいけど……」


さっき橘がしゃがみこんでいたところまで来て向かい合うと、心臓の騒ぎ具合が大変なことになり始めた。


大丈夫? まだ人類進化してないから、心臓ひとつしかないよ?


「ごめんね、やっぱりおれ、がまんできなかった」


そう言って小さく目を細めて……くるしそうにわらってから、橘はゆっくりとまばたきをして。


真剣な顔つきを見せた。

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