そろそろきみは、蹴られてくれ。
ぱっと、橘の手首を掴む。
振り向いた橘は、目を見開いて、「……は」とこぼした。
「なんで、紗奈ちゃん、えっ?」
「あのね、橘。わたし、やっとわかったの」
魔法にかけられたプリンセスも、いきなり変身させられた少女たちも、こんな感じだったのだろうか。
言いたいことが、どんどん浮かんで。溢れ出して。徐々に、徐々に、伝えていく。
こんなふうにしゃべれるだなんて、想像もしていなかった。
橘の前だから。
わたし、橘がだいすきだから。
だからなんだよ、ねぇ。
お願い、伝わって。