そろそろきみは、蹴られてくれ。


──……いつか、すきが簡単に終わってしまうんじゃないかって。こわかった。


わたしなんかが。つい最近まできらっていたのに。そうやって、不安だった。


「 “ すき ” って、はっきり伝える。この先の不安とか、恐怖とか、ぜんぶ。逃げずに背負う。ちゃんと息を吸って、言う。あとね、」

「紗奈ちゃん」


切羽詰まったような声の彼に、思わず顔をあげてしまって。


……あ。


目、合った。

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