そろそろきみは、蹴られてくれ。





「ごめん。──……やだったら、突き放して」





なんて。突き放させる気、ないくせに。


橘の体温に、包まれる。


ちから強く、壊さないように、永い眠りからよみがえらせるように。


「やじゃない、いやじゃないよ、橘」


ひろくて、おおきい。


背中に腕をまわして、ただの温度じゃすまない、熱を覚えて。

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