そろそろきみは、蹴られてくれ。


「あとね橘。わたしのすきを、いっぱい知ってもらおうと思って」

「うん」

「わたし、相当に重いと思うよ。呆れちゃうかもしれないし、げんなりするかもしれないし、だからってわたし、いまさら離そうって気になれないし。──それでもよければ、わたしと」

「うん、紗奈ちゃん」


首を、上から指先でなぞられて。


びくりとして、言葉が止まる。


「紗奈ちゃん、おれと、付き合ってくれますか?」

「な、……んで、言っちゃうの。わたしが言おうと思ったのに」

「おれが最初に言ったんだよ」


……しってる、けど。だって。

< 325 / 625 >

この作品をシェア

pagetop