そろそろきみは、蹴られてくれ。


「バスケの本、も、……貸してほしい」


言ってから、また、深呼吸。


橘の返事とか、表情とか──早くわかりたいのに、わかるのが怖い気もする。


知らないことは悪じゃないけれど、わたしの場合は知らなすぎるっていうか。


マイナス思考にすぐ陥る、よくないね!


自覚したから進歩できる。……珍しくいいこと言った?


うわー、脳内がパニックすぎて!!


「いいよ!」


──……あれ、めちゃくちゃ普通の反応だ。


え、あれ!? なんか想像してたのと違う!


ぐいぐい教えにきてくれるか、呆れられるかだと思ってた、うぬぼれと被害妄想とがすごい気もするけど、でも、あれっ。


……そっか。


そんなに難しく考えなくてもいいのか……。

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