そろそろきみは、蹴られてくれ。
何かあったとしたら、迂闊に声をかけるのはよくない?
……ううん、かけよう、そうしよう。
いいかわるいかはわからないけど、話すだけで楽になることってあるもん。
話してくれたらよかったなって思うし、話せないなってなったらそのときはごめんね。って。
話しかけないことには、なんとも言えない。いいかわるいか、決めきれない。
それに。
声をかけなかった自分、という存在を引きずって生活しそうだと思うから。
これは、わたしのエゴでしかないけれど。
「橘」
ちかづいて、呼んで。
こちらを向いた橘は、ぱあっと明るい笑顔を浮かべていた。