そろそろきみは、蹴られてくれ。
「胸が苦しい」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫、あと10時間くらいで治るよ」
「長いね!?」
橘がものすっごく慌ててるよ、わたしが慌てさせてるよ!
「ふいうちはよくないって。……橘、言ったくせに」
『ふいうちは、よくないって……』
つぶやいてから、3秒、目をつぶったこと。覚えているんだから!
「ふいうちで現れたのは紗奈ちゃんだよ」
「うっ」
たしかに、そう、なのかも。
迷走していると、橘もしゃがんだ。
目線を合わせようと、少し腰を曲げている。