そろそろきみは、蹴られてくれ。
「ダメだよ」
「なんで?」
「なんでって……そりゃ、学校だし」
みんないるし。
「学校だからダメ? なんで?」
「ひ、ひとがいるから?」
「だれも見てないよ、いま」
「ええ、でも、その、心の準備が」
ふぅん。橘は言って、にやりと笑った。
「ひとが近くにいなくて、心の準備をするだけの十分な時間があれば、いいんだ」
ひえ。まさかそんな、いやいや!
「まあ、いまはしないんだけどね」
……ん?
「しないの?」
「していいの?」
「っダメ!」
「でしょ、しないよ。ね、何か話があったんだよね?」
──くやしい……。