そろそろきみは、蹴られてくれ。
「なんでよ、何も心配することはないじゃん」
至っていつも通りの調子で口にして、言い方が可愛くない、怖いかもしれない、と浮かべた。
言い直す。
「その……バスケ部の、橘を」
照れている場合じゃないんだ。いろいろと懸かっている。
もういちど息を吸って、目を見る。濡れた瞳を見つめるのは、なぜか多少の罪悪感があったけれど、それをさらに濡らしてしまわないよう伝えるんだ。
罪悪感の正体は、たぶん、橘の顔が整いすぎているからだと思うな。
「……わたしに見せてくれるんでしょ」
あー!!! いざ言うと3割増しくらいで照れますね、いやうそです、8割増し。ちょっとかっこつけようとしちゃった。