そろそろきみは、蹴られてくれ。


「っえ!」


大声を出した橘に向けて、なんか可愛いなとか考えた頭、早く爆発したほうがいいかもよ。


いま橘はごめんねって思いでいっぱいだったろうに! そんなことを! 考えるな!!


「来て……くれるの?」

「行ってもいい?」


きてほしい。


一音一音、はっきりと口にした橘。


それから、もっと手をぎゅっとして。


「どうしよう、おれ、うれしすぎて泣ける」

「!? 泣かないで」

「えー、やばい! やばいよ紗奈ちゃん!」


ハンカチを渡したい、もしくはティッシュ、でも手が自由じゃないなあ。


「ねぇ橘、いっかい、手を……」

「離さないよ!」

「え?」

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