そろそろきみは、蹴られてくれ。
*
「紗奈ちゃん、なんで拗ねてるの……?」
いつも通りの紗奈ちゃん呼びに戻した橘が、膝を抱えてしゃがみ込んだわたしを必死に見つめている。
うう、拗ねてる。わたしいま、史上最高に拗ねてる。
「……拗ねてない」
うそです拗ねてます!!すみません!!!
「──そっかあ」
眉を下げてへにゃりと笑顔をつくられ、ドキリとした。
この表情、可愛いからすきだな、なんて。
その可愛さに拗ねたわたしが思うことじゃない。
「なんで、」
「ん?」
質問されたから、わたしもし返そう。
思ったのに、言葉がつまった。うっ、言いづらいぞこれは……。
「なぁに?」
「っ、えっと」
ええい、こうなったら勢いだ! 言え! 言うんだ!!
「なんで、キス、おでこにしたの──」