そろそろきみは、蹴られてくれ。








「紗奈ちゃん、なんで拗ねてるの……?」


いつも通りの紗奈ちゃん呼びに戻した橘が、膝を抱えてしゃがみ込んだわたしを必死に見つめている。


うう、拗ねてる。わたしいま、史上最高に拗ねてる。


「……拗ねてない」


うそです拗ねてます!!すみません!!!


「──そっかあ」


眉を下げてへにゃりと笑顔をつくられ、ドキリとした。


この表情、可愛いからすきだな、なんて。


その可愛さに拗ねたわたしが思うことじゃない。


「なんで、」

「ん?」


質問されたから、わたしもし返そう。


思ったのに、言葉がつまった。うっ、言いづらいぞこれは……。


「なぁに?」

「っ、えっと」


ええい、こうなったら勢いだ! 言え! 言うんだ!!


「なんで、キス、おでこにしたの──」

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