そろそろきみは、蹴られてくれ。
……あっ、いや、ちがう。ちがうよ紗奈。
こういう思考回路をできるようにならずとも、自分の中で時が来た! と思ったら名前呼びしていいよ。
ちゃんと言い直さないと、自分に自信がないわたしは……と一生言えないからね。うん。訂正大事だよ。
将来社会に出るときも、100パーセント重要だと思う。
だから、いま訂正したこと、覚えといてね。紗奈。
えー、脳内どうした。酸素足りてる? てんやわんやだね!
しばらく考えるようにして、口元に手を当てていた橘。
ぱっと手を離して、にっこり笑った。
それまでは、どこか遠いところを見ていた。よかった、わたしのほうを見られていたとしたら、めちゃくちゃやばかったと思うな、変な顔して悩んでいた気しかしない。
「本能、かな」
……なんて?