そろそろきみは、蹴られてくれ。


う……っわ、いまわたし、何言った? 正気かよ。


ごにょごにょ、語尾が小さくなったことは自覚している。聞こえていなければいいけど──。


「ほんとう!?」


聞こえないわけないよね、橘だもん!!


ぱあっと顔を輝かせた彼に、胸がぎゅっとなった。


可愛いなほんとう……。さっきの男はどうした、どこにやった?


「それでもさ、……可愛すぎて心配」

「心配、しなくても……。シフトが終わったらコンタクトにするよ」

「そうなの?」

「うん、」


軽率にうなずいてしまってから、


「じゃあ、キスしやすくなるね」


──後悔。

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