そろそろきみは、蹴られてくれ。
「……おまえら──」
頭上からの声に、びくぅ!
過剰なくらいに驚いてしまった。
ロボット並みにギ、ギ、ギと振り向く。
「なんで言っちゃうの!」
恥ずい、とちがうほうに目をやっちゃって。
「でもだって、ほら! 涼雅、誤魔化したりうそついたりできんのにしないじゃん! なんで言っちゃうのって、認めてんじゃんか」
たしかにそうだ。
「うそとか、……つかねぇよ」
思っいきり恥ずかしそうにしてるくせに。
「ただちょっと、かっこつけてたかったのに」
そうやってかっこよくて、さらにわたしを溺れさせちゃう。
そういうりょ……っ、橘! 橘だからすきなんだよ、うん!
──……あっぶない、いま、名前呼びするところだった。みんなが名前で言ってたから! つい!
焦らず、決心のついた、ここぞというタイミングで呼ぶって決めてるんだもん。うっかりで呼んじゃって、あああああって叫ぶのはいやだ。
いまは心のなかでの言葉だったし、いきなり叫び出したらそろそろやばいと思うからね。