そろそろきみは、蹴られてくれ。
「すきだよ。めっちゃすきだし、ほんとう、いまここでは言えないくらいすき」
真顔で言われて、受け止めかけて、固まる。
『いますぐ食べちゃいたいくらい愛してるし、毎日スカートの中覗きたいくらい愛してる』
こんなことを言っていた気が。いまここでは言えない……って。
えっ。…………えっ!
「紗奈ちゃんは、おれのことすき?」
「あ、うん……すき、だよ、うん」
「え? 何その間」
「いや、だって──……み、見せないから!」
スカートの端をぎゅうと押さえる。
「あー? あー、うん、そうだね。見たいくらいにはすき」
うああ、わたしの彼氏、たいへん危険人物です。
でもそうだなあ、わたしもあやうく令状が出るところだったし。
捕まるときはいっしょに、落ちるところまで落ちてみようね……。