そろそろきみは、蹴られてくれ。


キュ!


バッシュの擦れる音が響いて、それから、膝が落とされる。


すべてがのびると同時に、綺麗な弧を描いて、ゴールのネットを揺らしにボールが跳んだ。


──パサッ


スリーポイント。


すぐに再開される試合。


ああ、どうしよう。


試合って、すごい。


試合って、たいへん。


いますぐ伝えたいのに、伝えきれないな。


「決まったー!」


花乃が両手を上げてうれしそうにして、


「涼雅、たのしそう」


篠山くんが拍手した。

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