そろそろきみは、蹴られてくれ。


「っ……、惚れてる、し」


う、結局、ちょっと体勢をうしろに傾け気味になってしまった。


目は逸らさなかったし、セーフなのでは? アウトがどこかといったらあやふやだけど。


目を逸らしたって、言えたらセーフ判定した気がしないでもない。でも! いまここで目を逸らさずにほんとうのことを言えたのが! いちばん素晴らしいことだと思う!!


よし、役割果たした。言いたいこと言った。……言ってないや。


返答はしたし、目を逸らさずに本音を言えたし、合格点。だけどまだ、かっこいいって言えてなかった、言おう。


「!? は? 可愛すぎる無理無理無理重罪監禁ルート」

「?????」


いまなんて言った? ひと息だったし、意味がわからないよ、10秒ちょうだい。


──は? 可愛すぎる、無理、無理、無理、重罪、監禁ルート。


……は? えっ、え? こっちが『は?』なんだけど……どういう、えっ、わたしがおかしい? みんな微笑ましく眺めてるけど、何? これ、わたしがおかしいのかな。


ちょっと、みんな? これは早速、わたしの代わりに蹴ってくれる人材が必要なのでは。

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