そろそろきみは、蹴られてくれ。
「じゃあ決まり! あとは何しようか」
じつは今日、なになにしよう! で集まったわけではなく。
『都合がつくなら、みんなで遊ぼうよ。おれの家あいてるから来る?』
──だったから。
予定はぜんぶいまから決める。
「あ、おれね、これみんなとやりたい」
橘が机の上に置いてあったプラスチック製のケースを手に取り、こちらに見せた。
「レースゲーム?」
「うん。バイク走らせるやつね。」
有名なやつだ! ……有名なやつだけど、やったことはない。わ、たのしみだ。
「従兄弟が貸してくれたんだけど、まだできてないんだ。みんなでいっしょにやりたいなって勝手に用意してたんだけど──ど?」
「やりたい!」
「それめっちゃ楽しいよ」
「そうなの?」
どうやら篠山くんはこのゲームを持っているらしい。