そろそろきみは、蹴られてくれ。


「紗奈ちゃん、いっしょに走ろうか?」

「それ、最終的に裏切るやつじゃん」

「爆発に巻き込むくらいは……する可能性ある」

「やだ!」


やだね、そんな道連れみたいなの。しないしされないもん。


「たとえゲーム内でも、離れ離れってやだからさ。ね?」

「……ね? って何? こわ」

「紗奈ちゃんならわかるでしょ。おれがどんな人間か、とか、おれがどれくらい紗奈ちゃんをす」

「ちょっと黙って!」


ふたりの前でなんてことを言い出すんだ! やめてくれ!


知ってるよ、わかってる! けどちがうんだ。知らないから、いっしょに走ろう、爆発しようを拒否しているわけじゃないの。


知った上で、重さにつぶれるから断ってるの!


……ちゃんと知ってるし、しっかりうれしいよ。ありがとう。

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