そろそろきみは、蹴られてくれ。
「花乃ちゃさん」
──ん?
「ちゃさん?」
聞き返してから、はっ。
いま理解した。余計なことに首を突っ込んだかもしれない。
「っ、ちが、ちがうごめん間違えた」
「ちがくない! ちがくないよ」
真っ赤になって手をぶんぶんと振っている篠山くんの手首を、花乃ががっしりつかんで。
「ちがくないから、もういっかい」
「……えっと」
「うん」
わたしと橘、はけたほうがいい?
ふたりきりの空間にしたほうがいいのでは……というよりも、そうしないとわたしがつぶされる。