そろそろきみは、蹴られてくれ。


「さ、もう1戦!」


さてはて。今回は負けないぞ。


「同じステージにしとくね」

「ありがとうございます!」


篠山くんの配慮、感謝です……ありがとう。


「んーと……、まずはロケットスタートだよね」

「そうだね」

「木箱にはぶつかりに行っちゃダメ」

「そうだよ」

「落ちないようにカーブする。体はまっすぐでいい」

「うん、敵に確認することじゃないけどねー」


うう、そうなんだけどさ。なんか……お兄ちゃんがいたらこんな感じなんだろうな。


「どうする? 走りながら1個ずつ確認してくよ、いっしょに走る気になった?」

「いえ、結構です」


撤退。押し売りみたいな愛情表現、ましてやゲームでさえ離れられないお兄ちゃん、わたしには合わない。


……恋人だから、彼氏だから、だいすきって思えるのであって──やめようほんと、自爆。

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