そろそろきみは、蹴られてくれ。


「よし、がんばるぞ!」


3。

2。

1。


カウントダウンをして、ごー!


「はっ! ロケットスタート、できた!」

「おー、えらいえらい」

「見て! 走れてる、あんまり落ちてない」


早速いっかい落ちたけど。


「すごい! 紗奈ちゃん、成長力の塊!」


成長力の塊──? いやでも、さっきわたしも可愛いの具現化だとか思ってたな、似たものどうしか。


「って、えっ! 橘速くない?」

「コツ掴めた」

「置いてくの?」

「……いっしょにいてもいいの? うしろにつく準備はいくらでも、いつでも、できるよ。なんならできてる」

「──パスで」


圧倒的に落ちる回数が減ってきている、やったー! これはこのまま何回か練習すれば、差が狭まるのでは。


……いやあ、じつはさっき、篠山くんと1周も差があったんだよね。


せめて半周に……。

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