そろそろきみは、蹴られてくれ。
*
「お邪魔しました!」
「ほんとうに大丈夫? 学校まで送ろうか?」
「大丈夫だよ、迷わないと思うし。……もし迷ったら連絡する」
「わかった」
外で、篠山くんと花乃を見送る。
すっっっごく楽しかった。
「今日はありがとう」
「こちらこそありがとう!」
「じゃあ、また学校で」
手を振り合って、最後に。
紗。
奈。
ちゃ。
ん。
花乃が口パクで呼んでから、握ったてのひらを宙でいちどバウンドさせた。
……がんばれ、ってことだと思う。
うう、敵わないな。どうしてそこまでわかっちゃったんだろう。
何度も高速でうなずくわたしへ、花乃がにっこりわらった。