そろそろきみは、蹴られてくれ。





「お邪魔しました!」

「ほんとうに大丈夫? 学校まで送ろうか?」

「大丈夫だよ、迷わないと思うし。……もし迷ったら連絡する」

「わかった」


外で、篠山くんと花乃を見送る。


すっっっごく楽しかった。


「今日はありがとう」

「こちらこそありがとう!」

「じゃあ、また学校で」


手を振り合って、最後に。


紗。

奈。

ちゃ。

ん。


花乃が口パクで呼んでから、握ったてのひらを宙でいちどバウンドさせた。


……がんばれ、ってことだと思う。


うう、敵わないな。どうしてそこまでわかっちゃったんだろう。


何度も高速でうなずくわたしへ、花乃がにっこりわらった。

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