そろそろきみは、蹴られてくれ。


「っん、」


キスが降ってきて、反射でドアに背をつけてしまった。


宣言してもらったって、わたしが許可をくだしていたって、なれないし。彼氏がすきすぎて緊張するし。


……なれなくていいんだけど。


くちびるが離れて、──ああどうしよう。


ほんとうに抑えられないな。


「……、橘」


手を伸ばす。


両腕を限界まで伸ばして、つま先立ちをして。


左手を首筋に、右手を後頭部にふれさせた。


髪を撫でる。


「っ、あー……可愛い」


顔の輪郭に手が添えられ、ぐいと目を合わせられた。


あ……、また、キス。

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