そろそろきみは、蹴られてくれ。
「真咲と佐久間さんの、送るよって会話。あれ、聞いてないふりして聞いてたんだ」
……あ、DVDの準備してくれていたときかな。
「紗奈ちゃんのこと、もともと送る気ではいたんだけど……あのタイミングで言ったら、それからずっと遠慮されるかなって思って」
よくわかっていらっしゃる……。そうだと思う、わたしは受け取りきれずに、何度も大丈夫を繰り返しただろうな。
欲をさらけ出しても、いいんだ。
そっか。思いっきりあまえても、抱きとめてくれるんだ。……ちがう間違えた、受けとめてくれる、って、言いたかった! 間違えた!!
「わたし、ね、じつは……もっといっしょにいたいなって思ってる。です」
「ありがとう、おれもだよ」
行こうか。と、脱いでいたコートを差し出され。
ええ、イケメンすぎて隣を歩ける自信が消失した。
そうだ、橘、イケメンなんだ。汗を食べたりスカートを覗こうとしたりやばいひとだけど、いつまでも脳に根付くような記憶をあたえてきたひとだけど、イケメンなんだ……!
やばい失礼だ、ごめんなさい。