そろそろきみは、蹴られてくれ。


「茅田さん、ほんと、サイコー」


橘、ほんっとサイテー。


「じゃあまたね」


机の中に手を突っ込んで、腕時計を持った彼が、手を振る。


「もう帰ってこなくてもいいよ」

「おっけー、急いで帰ってくるわ」


わたしと橘のやり取りを見ていた花乃に、彼が、微笑む。


黙っていたらかっこいい、という言葉は彼にはない。黙っていても変なことしやがるから。


「橘くん、かっこいいよねぇ」

「……知らない」


一般的にそうだとしても、わたしはそうは思わないし。


「ふぅん」


花乃がストローに口をつける。

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