それ以外の方法を僕は知らない
初めて克真くんと話したのは、私が日直の時だった。あの時も確か彼は課題の未提出者で、それがきっかけで私は彼に声をかけたのだ。
ひとりが好きです話しかけないでください、と言わんばかりのオーラを解き放っていた彼に恐る恐る声をかけるも、ヘッドホンのせいか私の声は聞こえていないようだった。
意を決して肩を叩いたら、あの時も今日と同じように「うざい」と言われた覚えがある。
なんて理不尽な人なんだ。
なんて思いつつも、そんな彼に私が密かに興味を抱いていたのも事実。
あれ以来、話す機会が全くなかったわけなんだけど。
「克真くん」
日直周期が一周した今日。
2人きりという絶好の機会が巡ってきてくれたらしい。
いつもは話しかけることさえ躊躇うけれど、2人ならば問題ない。