それ以外の方法を僕は知らない





「克真くんって友達いなさそう」

「…はぁ?」



少し…いや、かなり直球過ぎたかもしれない。

大して喋ったこともない人間に「友達いなさそう」と言われて良い気はしないことは分かっている。


───けれど、でも。




「いつも1人じゃん。そこの景色そんなに綺麗かなぁ」

「…お前、うざい」

「えーだって、」

「……いるよ、友達くらい」

「お昼一緒に食べてる人のことでしょ?知ってる」

「……チッ」

「舌打ち?酷いなぁ本当」




話す気がないのなら、私が勝手に喋ればいい。
彼が私に興味がなくても、私は彼に興味しかないのだ。


帰るなんて勿体ない。
与えられたチャンスを無駄にすることほど悲しいことはない。



「克真くん」

「まだ何かあ──」

「私と友達になろうよ」




ただ純粋に、私は彼と仲良くなりたかったのだ。


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