それ以外の方法を僕は知らない




「…俺と友達になっても何もないけど」

「そんなのなってみないと分かんないよ」

「…でも俺は、」

「あーーーーー!」



突然声を発した私に、彼はビクリと肩を上げた。

…おお、驚いてる。



うだうだと言い訳のようなものを並べる彼に嫌気がさした。

「でも」の後に彼がなんて言うつもりだったかは分からないけれど、きっとネガティブな発言だろうから聞かなかったことにしようと思う。


確かに、周りを見渡せば彼より面白い人なんて沢山いるし、一緒にいたら楽しいだろうなっていう人も溢れているのだと思う。



じゃあ、どうして私は克真くんと仲良くなりたいのか。

──しいて言うなら、完全にフィーリング。




「私は克真くんと仲良くなりたいの」




面白そうな人より、楽しそうな人より、下館 克真という1人と人間に興味があった。

友達になりたいと思うのに、それ以外の理由なんて必要ない。



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