それ以外の方法を僕は知らない
――だからだと思う。
「どうして下館くんと仲良くなってるの?」
「下館くんって喋るの?」
「あの人って名前で呼んでも怒らないんだ…」
「友達なの?それとも彼氏?」
克真くんとそんなやり取りをするようになってから、私にはそんな質問が殺到していた。
本人に聞くのは勇気がいるから、比較的オープンな性格の私に聞いてきたのだろう。
「どうしてって…友達になったからだけど」
「喋るよ」
「苗字で呼んだことないからわからないけど、多分怒らないんじゃないかなぁ」
「私と克真くんは友達だよ」
質問されたことに対しては答えられることは答えているけれど、1日何回も違う人に同じ説明をするせいか、初めの数日の疲労といったら半端ではなかった。