それ以外の方法を僕は知らない
私たちが喋っている光景は“異例”として見られていたけれど、それも1週間も後半にさしかかればだんだん飽きてくるようで。
さらに月日が経った今、ようやく彼と喋ることに周りの反応を気にしなくて良い環境ができ始めた。
朝のSHRが始まるまでは、私は彼のすぐ側の席に座ってただひたすらに話しかける。
それが、私たちのルールだった。
…まあ、私が勝手にそう思ってるだけかもだけど。
「何聴いてるの?」
「お前に関係ない」
「またそれ?聴いてる曲くらい教えてくれても良くない?」
「…どうせ言ってもわかんないから。バカがバレるぞ」
「ねえ、私のことバカだと思ってるの?」
「…バカだろ」
「確かに数学のテストで6点だったことはあるけどそれ以外は人並み以下くらいには…」
「バカ」
「……うーん。否定出来ないのが悔しいなぁ」