それ以外の方法を僕は知らない
これ、と言ってスマホを差し出し、作品の詳細が示された画面を見せる。
「行かない」と再び言いかけた彼は、その画面を見た途端その言葉を飲み込んで少し間を空けた後、ちらりと私の方を見た。
「…え、何?」
「……お前、洋画好きなの?」
「へ?」
「…洋画。好きなの?」
少しだけ驚いたように私にそう聞いた彼。
質問を肯定すれば彼は「…意外、」と呟くように言った。
「恋愛ものしか見ないと思った?」
「うん」
「それは偏見。でもよく言われる」
彼がこういう作風の映画が好きそうだと思った私の予想は当たっていたのだろう。
こころなしか、彼がいつもより話題に乗っかってくれている気がする。