それ以外の方法を僕は知らない
もうほとんど人がいなくなった教室の隅で、彼は今日もヘッドホンを付けていた。
何かを聞いているであろう彼は、特に何をするわけでもなくただぼうっと窓の外を眺めている。
何を見ているのかも、何を聴いているのかもわからない。
何も用がないなら帰ればいいのに、どうしてまだ教室にいるんだろう。
そんなにきれいな景色なのかな。
ていうかあのヘッドホン、やっぱり何度見ても高そうだし、重そう。
見ているだけで次々と疑問が生じてしまうほど、彼は何処か不思議なオーラを漂わせている。