それ以外の方法を僕は知らない

「俺、音々と友達になれてよかったって思ってる」

「…克真くん」

「完全に音が聞こえなくなった時、…音々の声なら聴こえる気がした」

「…それは無理があるよ…」

「はは。…でも俺、これからを考えたときに、音々がそばにいてくれたらいいなって思った」




彼は、見たことないくらい優しい笑みを浮かべている。




「俺、いつのまにか音々のことすきになってたみたい」




私が予想していたものとは全く真逆のもの。
照れくさそうに頬を掻く彼に、全然頭が追い付かない。




「…、か、克真くんは先生のことが好きで…だから、気持ち伝えに行ったんだよね…？」

「俺、先生のことは“もういい”って言ったよ」

「…で、でも、」

「ヘッドホン、もう要らない」

「っえ」

「音々がいるから、…“いつか”がいつ来てもこわくない」