それ以外の方法を僕は知らない
克真くんの声が、まっすぐ私の耳に届く。
これは幻だろうか。信じていいのだろうか。
先生の代わりじゃなくて、私は私として彼の未来に寄り添えるのだろうか。
「音々のことが好きだよ。俺のそばで、ずっと笑っててよ」
どうか、夢なら覚めないで。
夢じゃないなら────もっと、聞かせて。
「……うぅ……、っ、私も…っ」
「…私も、何?」
「克真くんのことが好きだよ…っ」
「……もう1回、」
「…っ、」
「…もっときかせて、音々」
「好きです、克真くん────」
この音が、きみの耳が、可能な限り長く生きていますように。