それ以外の方法を僕は知らない




彼のノートを受け取って自分の席に戻る。

既に未提出者分を番号順に並べていたので、ノートの表紙に書かれた克真くんの番号を確認してその場所に入れるだけ。

最後に、彼の名前の横にある×を○に変えれば任務完了だ。




ぐーっと伸びをして教室内を見渡せば、SHRが終わってまだ30分も経っていないにも関わらず、私と克真くんしかいなかった。



克真くんは、未だ飽きもせず外を見つめ続けている。

これもいつもの光景だった。


数学の課題の提出は火曜日。

ノートを忘れたとか、出し忘れたとか、そんな生徒のための救済日が今日───木曜日なのである。


とはいえ、実際には金曜日までに出せば良いという暗黙のルールがあったりして、だったら最初から火曜日じゃなくて金曜日にしておけばいいのにな、と、日直の私は思うわけである。




克真くんは課題未提出の常習犯だけど、救済日にその日の日直が声をかけるとちゃんと提出しているイメージがあるので、実は真面目なのか、それとも忘れっぽいだけなのか、とにかくよくわからなかった。


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